皆さんイカがお過ごしでしょうか?のぶです。
USJにハリーポッターの大人気アトラクションがありまして、その目玉がホグワーツ城ですよね。
そのホグワーツ城を建てるまでに色々と困難なことがあったというお話です。
ただ、正確に言うならお城だけじゃなくハリポタエリア全体で450億かかってるみたいですね。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
今回はこの本の感想です、2014年に出た本でたまたま見かけて読んだ本。
右肩下がりだったUSJを立て直した話で、そこまでをドラマチックにそしてプロジェクトを進める際にどのような判断基準をもって判断したかが綴られている。
マーケティングというかプロジェクトを進める上で一つの成功例が記されているので、多くのビジネスマンに進めれるのではないだろうか?
森岡毅ってだれ?
この本の作者は森岡 毅さんというもとP&GからUSJのグレン・ガンペル元社長にヘッドハンティングされた方である。
現在はUSJを退社されて自分でマーケティング専門の会社を立ち上げられており、最近良く見るネスタリゾートや丸亀製麺を手がけられているそうだ。
余談だが、盛岡氏をUSJにヘッドハントした、グレン・ガンペル元社長は元大阪市長の橋下氏と険悪な関係になった人で、現在はUSJの社長を退任されている。
橋下氏が好きだった自分としては、まともに土地代を払わない、USJ社長駄目じゃんとネガティブな印象を持っていたが、本の作者である森岡氏からすると、理解ある上司として登場する。
視点が変わると全然印象変わるなーと、当たり前だが改めて思った。
さて、この森岡氏はUSJ立て直しのためにP&Gから引き抜かれて入社される。
森岡氏自身、社長に口説かれて入社決意したあとは全身全霊でUSJの立て直しに奔走する、その際に様々な資料をもとにUSJ立て直しの計画をたてるんですが、その起爆剤に当時アメリカにあったユニバーサル・オーランド・リゾートにオープンしたばかりのハリポタエリアに感動して、これを日本につくる!と考えたそうです。
当時のUSJは、ぼくはあまり印象がなく名前以外はパットすることなく人気も活気もなかった印象で、経営破綻したエキスポランドとあまり大差はなかった。
しかし、森岡氏の奮闘もあり、現在USJはTDLと並ぶ日本を代表するテーマパークになっている。
本の内容で誤解しやすい点
①現在USJはNBCユニバーサルの子会社
本編は2014年に書かれた本であるため、本文中のUSJはアメリカのユニバーサルスタジオと資本関係はなかったと書かれている。
2007年(平成19年)に東京証券取引所マザーズ市場に上場。2009年(平成21年)にゴールドマン・サックス子会社であるSGインベストメンツ株式会社のTOBにより同社の完全子会社となり、2010年(平成22年)2月をもって同社に吸収合併、商号を(新)株式会社ユー・エス・ジェイに変更。
しかし、本が出版された1年後にNBCユニバーサルの100%子会社になっている。NBCユニバーサルの子会社にユニバーサルスタジオがあるので、USJはユニバーサルスタジオと同じグループ会社になる。
結果的に日本を代表するテーマパーク、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドがウォルト・ディズニー社と資本提携がない状況と対象的である。
②後ろ向きに走るジェットコースターは実は色々ある
本書中を素直に読むと世界に後ろ向きに走るジェットコースターはない様に綴られているが、
ブギウギスペースコースター(スペースワールド、設置1990年)、バックナンジャー(鷲羽山ハイランド設置1986年)などがある。スペースワールドは残念ながら、閉園したらしいがバックナンジャーは現在も頑張っているようだ。
本を読むと後ろ向きに走るジェットコースターは世界初!のような印象を受けるが決してそうではないという事を注意するべきだろう。
実際本書中に世の中新しいアイディアは出尽くしていると書かれているしな。
本編はまさに現代のプロジェクトXのようにダイナミックに書かれている。
プロジェクトXという昔あったNHKの番組のように山あり谷ありと、まさに物語のようにダイナミックにえがかれており読んでて非常に面白かった。
他に実は本田宗一郎の本読んでたんだが、良いことを書いてあるとは思うが、社長視点の本を読んでもふーんと思うだけで、心に来るものがなかった。
読み終わってないのだけど、このUSJでハリポタ城を作るまでの話を読み始めたらあっというまに読み終わった。
これが逆境だ!
特に最初の10周年を迎える2011年に色々計画を立ててがんばるぞー!と言ってたら、2011年3月11日にあの東日本大震災が起こり、日本全体にテーマパークで遊ぶなんて不謹慎だ!といった自粛ムードが広がります。
特大級の逆境だと思いますね。のぶなら諦めて来客人数の目標計画を修正するのですが、森岡氏は諦めずに、この自粛ムードを吹き飛ばす方法を考えに考えます、考えすぎてパークの街灯に顔をぶつけて、歯がかけるほど周りが見えてなかったそうですw
被災地が落ち込んでいるので、それ以外の関西が頑張らなければと考え、エンターテインメントの存在意義であり、USJの使命である「人を元気にする」になにか出来ないかと考えていたそうです。
ただ、ここで森岡氏は考える内容を、どのような切り口のプロモーションをどういう体裁で打ち出していくのか?
このときのアイディアの必要条件を考えた上で、その必要条件を満たすプロモーションを考えに考えたそうです。
①自粛ムードの潮目を変えることができること。大震災の衝撃で心を痛める繊細な日本人の心に 、「関西から日本を元気に!」というメッセージを「なるほど」と肯定的に受け入れてもらえるやり方で、反感を買って逆効果に陥らないこと。
② 第1四半期の残り(GW後から6月末まで)の1カ月半でワンピース並みに集客できること。
③ 追加のキャピタル(設備投資費用)が必要ないこと。②と③をクリアできるアイデアはいくつか思いついたのですが、最大の難問が①でした。この施策の肝は自粛ムードの潮目を変えることにあります。
このコトを必死に考えてたら、当時の橋下徹大阪府知事が大阪府下の小学生をUSJで遊ばせたいという話があったなと、思い出されて
関西の子供を無料で招待するキッズフリーパスが作られることになります。
当時のUSJ側は大反対になったそうです、自粛ムードでタダでさえお客が来てないのにこれ以上赤字を拡大することを皆が恐れたそうです。
精一杯宣伝してもみんながその宣伝を見てくれるわけじゃないし、自粛ムードを吹き飛ばせるかも未知数です。
反対されるのもよくわかります。
しかし、絶対に赤字にしないということで社内合意をまとめあげて、橋下大阪府知事にお願いして賛同してもらい発信してくれると約束してくれたそうです。
このキッズフリーパスの話を知事が発表したことを覚えていました。
当時橋下知事は、マスコミ対策の一環として自分の記者会見をYoutubeなどの動画で公開していました。マスコミが捻じ曲げて報道して府民が自分で確認できるようにしてたんですね。私は動画で見て、USJやるなーと思い、その後関西ローカルのテレビで報道しているのを見ました。
この報道で子供と大人が大勢USJに訪れて、潮目が変わることになります。
本書でも書かれていますがUSJが自ら発表することではなく、行政から、発信力が強い知事に発表してもらうことで公共的な側面が強調されて、多くの人がUSJにいくことを好意的に受け止められたんだと思います。
あと当時ネット上では地震が起きて多くの人が亡くなられたのは悲しいことだけど、何でも関係ない県まで自粛するのはどうなの?という自粛への疑問を持っていた人が少なからずいた事も影響していると思います。
のぶも心情的に同情はしても、本当に被災地を助けるならボランテイアするなり、被災地のものを買って応援するのが一番だと思います。TPOを考える必要はありますが、過剰な自粛は必要ないと思います。
企業活動で知事を動かす
なかなか企業は知事を広告に使いません、そのためUSJと橋下知事の活動は凄くインパクトが高かったと思います。
この活動を閃くことが出来たのはなぜでしょうか?
もちろん当時橋下氏がUSJと協力して活動がしたいと思ってたなど、多くの前提状況がそろってたと言うことも大きいです。
しかし、そのための問題点を明確にしてたことが大きいと著者の森岡氏は繰り返し綴っています。
良いアイディアを生むためには、問題点を明確にする必要がある。
この本で強く書かれている内容になります。
本の物語はこのあたりで、ここからは個人的にアイディアをひらめくための内容をピックアップします。
アイディアを閃くため前に考えるべきこと
私はアイデアを考えるときは、まず目的を徹底的に吟味して定め 、その次にアイデアが満たすべき「必要条件」を一番時間をかけて考えます。
ここだけ読むと当たり前だろ?と思いますが、実際の問題に直面したとき意外と気づけないことが多いです。
上記の内容を読んだ時に思い出したのは「問題の明確化」という言葉です。
そもそもユーザーは自分が困ってても何が問題なのかヒントはくれても明確な問題を提示してくれません。
もし私が顧客に何が欲しいのかという事を尋ねていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていたことだろう。
ヘンリー・フォード
ヘンリー・フォードはこのようなこと言ってないと言う説もありますが、この言葉は顧客の言葉を鵜呑みにしてたら車は作ってなかったという話ですね。俺的解釈ですが。
顧客も本当の解決方法を知らない
お客さんにもっと早い馬が欲しいと言われても、なんでですかー?と聞くと、早く孫に会いたいとか、早く物を送りたいとか、早く連絡したいといった返事が帰ってくるかもしれない。
その回答によって、孫に会うなら馬より車が必要だし、物を送るなら鉄道になるかもしれない、連絡したいなら電話が良いかもしれません。
早い馬が欲しいと言う答えでも、問題を明確化することで答えが大きく変わります。
問題を明確にしたあとにその解決策のアイディアをだすことになります。
解決策
イノベーション・フレームワークの概念をまとめると、次のようになります。4本の柱で支えている家を想像していただければと思いま す。
① フレームワーク
② リアプライ
③ ストック
④ コミットメント
森岡氏は「アイディアの神様」の正体は確率と言っている。
そのため良いアイデアを生み出す方法とは、良いアイデアを思いつく確率を上げる方法になる。
その確率を高めるために、フレームワーク、リアプラ イ、ストック、コミットメントの4つを強化するのです。
①フレームワーク
フレームワークは、分析ツールや枠組みと呼ばれるが森岡氏は大きく分けて三つのフレームワークを使う。
①戦略的フレームワーク→考えるアイデイアの必要条件を導き出す方法
②数学的フレームワーク→問題を発見や、可能性の発見に向いている。例えば宝がどこにあるのか足して100になる仮設を立てて検証する。
③マーケティング・フレームワーク→本書では割愛され端的に言うと「人の頭の中に強力なブランドを構築していくための勝ちパターン」になる
●勝つためには何が「必要条件」となるのか見当がつくようになる。
●何を必死に考えないといけないかがわかるようになる。
●宝が埋まっている可能性の高い箇所を掘れるようになる。
●結果として良いアイデアをひらめく「確率」が向上する。
この三つのフレームワークで問題を明確にする
②リアプライでアイディアを探します。
アイデア が世の中に落ちていないか調べることでした。世界中のパークやエンターテイメント施設でやっていることをもう一度理解して、我々のリノベーションに応用できるアイデアがないか探すことにしました。
現実で使われているアイディアを再利用できないか?ということである。
実際に使われているものを参考に、自分たちのところに再利用できるように仕立て直して使う。
一から作るより早いし、実際に成功事例として使われているアイディアなので、自分たちで作るより成功の確率が高くなります。
③ストック
アイデアを思いつくためには、そのアイデアにまつわる「文脈」のことをよく知っている方 が圧倒的に確率を向上させます。蓄積された豊かな情報が「ストック」です。
作者はモンハンにはまり、MH4を二カ月弱で300時間を超えて休みの日に17時間プレイしたけど、疲れてないと豪語する。しかし、そのプレイ時間と熱量がUSJにモンハン施設を作るもとになり、カプコンを口説くことが出来た力になったのだと思う。
コミットメント
最後の要素である「コミットメント」は、前の3つと違って精神論で す。
commitmentとは文字通りやりぬく覚悟や決意の意味です。「良いアイデアを絶対に思いつくぞ!」という気力のことです。
四六時中考え抜いて、考え抜いて、考え抜く、そうすることでアイディアが生まれてくるそうです。
まとめ
森岡氏を本書で考える限り、①に当たるフレームワークを非常に効果的に扱い、③にあたるストックを常日頃収集し、②と④のアイディアさがしをやり抜く覚悟は、考えすぎて電柱にぶつかるエピソードでわかるように、並外れた努力を行なっておられるのだと思う。
ここまで全身全霊といえるほど打ち込めたのは、本書でも書かれているが、USJのような遊びを仕事のアイデイアに転換する仕事を転職に出会った気がしているとのこと。
自分の今の仕事を天職と思うのは難しいが、今の仕事にあったフレームワークを作り、ストックを常日頃収集し、世界のアイディアからリアプライ出来ないか探すことを真似ることは出来るだろう。結果が出るかは自分の決意、コミットメント次第だと言うことです。
改めてフレームワークは森岡氏の次の本を読んでみます。
本を読んだらすぐやる、やり始めることでやる気が出る!
やらないと読んだ本の内容が身につかないのだ、皆さんも気になったら本を読んで、ぜひ実践してみませんか?
では、イカよろしくー!
USJのエリアがどのように出来上がるか?という視点でも読める良い本です。
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