都構想とは何だったのか?赤字政令都市の今後を考える

大阪事業所エリア2020 社会

都構想は、大阪の住民投票が行われて話題になったものですが、今後日本全体で話題になる話です。

と言うのも都構想は日本の行政システム、わかりやすいので国で例えれば「大統領制」にするか、「議院内閣制」にするか?と言った行政システムを新しくする話なのです。大統領制は国のシステムなので、地方で行われた都構想では行われないですが、市長や市議会議員の選択方法が変わると言う意味では、大きな住民投票でした。

大阪都構想は、大阪市の行政を東京23区のような区制度にする話でした。

残念ながら、2020年11月1日の住民投票で否決となりました。

しかし、この行政改革の話は今後も続くと思います。と言うのも日本のシステムが古くてガタがきているからです。
実際、横浜市は「特別自治市」といった新しい行政制度を訴えています、大阪市も「総合区」が新たな制度を導入するために2021年2月に市議会に提出すると言っています。

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なぜ新しい制度が必要なのか?

人口が増えた、人口の分布が変わった、財政が厳しくなったなどが大きな理由になります。
例として大阪市を上げると、政令指定都市は1956年に運用が始まったのですが、これは64年前となります。

日本コカコーラが設立されて、通天閣が出来た年です。地下鉄四つ橋線が走り始めた年です。

くっそ古い。連絡もも固定電話のみで携帯電話どころか、メールもない。パソコンすらない時代に出来た制度です。

連絡手段や交通手段が違う

制度が出来た当初はマッチしてたとしても、60年たち地下鉄は市内に整備され、連絡も固定電話が家庭から消えてスマホを一人一台持ちラインで連絡を取る時代です。

連絡手段や交通手段が充実すると、仕事は市内だけど住む場所は市外でいんじゃね?となります。
豊中市や吹田市の千里ニュータウンなどがベットタウンとして開発されていきます。

実際の資料を見てみましょう

大阪事業所エリア
大阪事業所エリア2020

これは平成18年なのでちょっと古い資料ですが、大阪付近の事業所、会社の分布ずになります。

青いところが事業所のある場所です。

青い印は大阪市を中心に外にも大きくはみ出して兵庫県や京都にも広がっています。それこそ昔は事業所の8割が大阪市内にあったのですが、時代がすすむにつれて大阪市外にも増えて、大阪府、関西全体に広がっていきます。

時代に合わせた行政の仕組みを作る必要がある

人の住む場所、働く場所が変われば、60年前は問題なかった仕組みでも、今の時代には合わない、また60年後の超高齢化社会ではまた新たに行政の仕組みを変える必要が出てくるでしょう。

そうでなければ行政サービスが人々に届かず、住みにくい町となり他の地域に移り住む人が多くなります。

大大阪と呼ばれた時代

江戸時代から大阪は日本の台所と呼ばれ、人口では江戸に負けていたものの商業の盛んな地域でした。

18世紀の江戸は人口100万人を突破し、世界最大の都市になっていました。

しかし、大阪ではお米で先物取引が行われたりして世界有数の金融街となり、淀屋橋で有名な淀さんは、現在の貨幣価値で言えば200兆円企業となっていました。これはAndroidを作り、GメールやGoogleMapでお馴染みのGoogleが約100兆円企業(2019年)なのでそれを超える大大企業です。しかも、Googleは世界に広がっているのに淀さんは日本でそれだけ稼いでいる、イカにおかしな資産なのかわかると思います。

ちなみに淀さんは江戸幕府に目を付けられて財産を失います。

現在GoogleやApple、Facebook、Amazonがアメリカ議会に呼び出されて色々もうけ過ぎと言われてる、そのことが江戸時代日本でも起こってたということですね。

そんな大商人を生んだ大阪は、明治維新以降も発展をつづけ戦前は、東京で関東大震災が起こった関係もあり、大阪は東京の人口を抜いて日本では1番、世界6位の大都市「大大阪」と呼ばれ大きく発展することとなります。

その後、室戸台風や世界恐慌などで大阪は衰退がはじまり、東京では戦時体制を整えるために東条英機内閣が、東京府を東京都に仕組みを変えます。

戦後、東京の発展が続き、大阪から企業は東京へ本社移転が続き、大阪はゆるやかな衰退が続きます。

都市が発展するために必須な都市計画

都市が発展するためには、人、物、金の動きが活発でならなければならない。

道路や線路、公園など都市をどのように発展させるか、10年後20年後を思い描いて都市計画を作るのですが、東京都はそのグランドデザインが描けます。

東京は3環状9放射ネットワークを計画している
3環状9放射ネットワーク

この図は東京の人や物をイカに円滑に動かすか?を考えて作られたネットワーク計画です。

コンビニで新鮮なサラダが並ぶのは、もちろんコンビニ各社の努力もあるのですが、この手の交通網が整備されて迅速に運べるのも大きな理由です、つまり、新鮮な食品が配送できるようになれば、大きなビジネスチャンスとなる。

道路整備がイカに重要かが分かってもらえると思います。

しかし、東京では東京都が道路などの広域行政を仕切れるのですが、大阪は大阪府と大阪市が道路計画の決定権を持っているので、このグランドデザインを描いても、計画がうまく進みません。

淀川左岸線延伸部問題

大阪で道路を作ろうとすると、一番発展していて中心部に当たる大阪市を経由するのが一番人の利用が多くなります。
そのため大阪府が描く道路建設に大阪市が関わるのですが、淀川左岸線延伸の際は、大阪市と大阪府がどれだけお金を出すか?の問題で長らく計画が止まっていました。

現在は松井市長と吉村知事のツートップで、携帯でする連絡出来る中なのでお金の問題も解決し、この工事は進んでいます。

地下鉄の延伸問題

広域行政を大阪市がやる限界例は地下鉄御堂筋線。江坂から北は吹田豊中で市営では延伸できず北急を設立。江坂でいちいち乗務員を入れ替え車庫まで桃山台に作った。阪急系でサービスいいが小規模で非効率。もともと大阪府営(大阪都営)なら生じない無駄だしモノレールとも通算格安運賃できたはず
 
特に地下鉄は東京が乗り換えなしで目的地に着けるのに対して、県外から来たお客さんは地下鉄に乗り換えすることを余儀なくされるだろう。
 

自分のことしか考えない大阪市

この二つの問題の共通点は、大阪市が大阪市のことだけしか考えてない点だ。
大阪府の真ん中にある大阪市
大阪府市の位置
特に大阪市は大阪の真ん中にあるため、大阪市以外の市や町は大阪を通ることを迫られる。
そのため交通網を考える際に大阪市にお伺いを立てなければならないのだ。

しかし、自分のことしか考えない大阪市だけの視点では周りの八尾市や豊中市、吹田市のことなど考えてないため、重要な道路や鉄道の建設が大阪市内でとまり、人、物、金の動きが止まってしまっていることに気づくだろう。

共産党の山中議員なんかはこのことを、躊躇いなく発言している。

ある意味しょうがないと思ってしまうのは、大阪市民の税金なので大阪市意外に使う必要ないと考えるのは当然なのだろう。

京都でも政令市の弊害は起きている

同じような考えは、京都でも起こっており、京都版GotoEatsは、京都府のクーポンは京都市内では使えず、京都市のクーポンは、京都市外では使えないといった、府と市の弊害が起きている。

大阪は府と市が連携しているので、市でも市外でも場所を気にせず使える。
政令市だと市のお金は市外で使わないという考えが起こってしまうのだろう。

大阪市民であるが、大阪府民であることを考えよう

この視点で考えてると、大阪府が豊かになると大阪市民にも恩恵がくることがわかる。

実際どこに住んでても市税は取られるわけだし、使われる税金に市とか府とかタグが付いているわけではない。

このことに拘るのは大阪市議会議員だけである

政令市のままではいけない

東京は、政令市がないため東京都が東京全域の道路工事や鉄道、食事のキャンペーンなどを一括して計画できるため無駄がないし、スピード感もある。

そのため他の都市より魅力ある都市づくりが行えて、多くの企業が集まり財政豊かな都市になれたのだろう。

横浜市は、財政悪化により敬老パスの有料化を検討し始めた、京都市は2021年は財政が500億円足りないと言っている。

名だたる都市がこのままでは行けないと思い、新たな都市制度を考えている。

その先陣を切った大阪だったが、残念ながら否決になってしまった。

しかし、次の手として2021年の2月の議会で総合区への議会提出する予定で、新しい都市制度を模索している。

将来は高齢化社会となり、税収が減っていくことが予想され、どう考えでもこのままでは居られないは確実だ。

経済的な面でも住みやすい街づくりのためにも似たような選択を日本全国の政令都市は選択を迫られるだろう。

その時良く考えて投票していただきたいと思う。

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